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『名作の食卓』[大本泉]お腹は減らないけど本は読みたくなる

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角川学芸ブックス 名作の食卓 文学に見る食文化

 

「名作の食卓」(大本泉)読了。

小説の中に出てくる食べ物とか食事シーンが大好きな自分にとって当たりな本。

「ぐりとぐら」のフライパンいっぱいのカステラに憧れたり、村上春樹作品の食べ物だけを扱った村上レシピとかを読んじゃう人にオススメ。

 


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村上レシピ

 

樋口一葉の『にごりえ』から吉本ばななの『キッチン』まで。日本の近現代文学の名作30篇に描き込まれたさまざまな「食」を通して作品の本質に迫る。作家の嗜好や日本の豊かな食文化に視点を据えて文学をたのしみながら味わいつくす、名作鑑賞入門。

Amazonより引用

 

 

「名作の食卓」

坊っちゃんはなぜ「天麩羅蕎麦」を四杯も食べたのか。

 

夏目漱石の名作「坊っちゃん」。その中にも食べ物が登場する印象深いシーンがあります。

田舎の中学に赴任後、散歩をしている途中に、東京と注を書かれた蕎麦屋を見つけます。

そこで一番高い天ぷらそばを四杯も食べたところ、それを見ていた生徒に後日からかわれ、心に余裕のない坊っちゃんは生徒への敵愾心を増していくというシーン。

 

地方に赴任したならその土地のものを食べるのが普通なところ、あえて東京と書かれた蕎麦屋で食べるのは『田舎は東京より劣っているのものという先入観があった』と断ずるのが気持ちいい。

『坊っちゃんは、あえて東京を表象する天麩羅蕎麦を食べることによって、土地の者と融合しようとするのではなく、最初から差異化をはかり自己本位の優越感に浸っている。』

なにかと教科書的な道徳作品として取り上げられがちな「坊っちゃん」ですが、「田舎に対する差別意識があった」「結局坊っちゃんは何もやってない」とか書かれると「確かにそういう作品かも」と思ってしまいます。

色々な解釈ができるのがやっぱり名作なのかもしれません。

 

食べることと生きること

 

もう一つ印象的な作品が正岡子規の「仰臥漫録」。

晩年寝たきりになった子規の日記文学で、家計簿や献立や妹への愚痴など生活的な作品となっています。

とりわけ凄いのが子規の食べる量! 

結核による寝たきりで寝返りも打てず、歯茎から膿が出る。背中と尻には穴が空いていてそこからも膿が出るから包帯を巻いている。包帯を変える時に患部に触れようものなら痛みで絶叫号泣するような人間が食べる献立がこちら。

 

朝 ぬく飯三椀 佃煮 なら漬

昼 粥三わん 焼鴫三羽 キャベージ なら漬 梨一つ 葡萄

間食 牛乳一合ココア入り 菓子パン大小数個 塩煎餅

便通及包帯取替

晩 与平寿司二つ三つ 粥二椀 まぐろのさしみ 煮茄子 なら漬 葡萄一房

夜 林檎二切 飴湯

 

いや食べ過ぎ! ざっと2000キロカロリー以上は食べてます。

現代人が健康のために食事に気をつけようとか言ってる間に、子規はとにかく食べる。

何故ならそれが子規にとって生きることだからです。

食べて、排泄して、寝る。

病床の中に居ながらなんとか楽しみを見つけ、病床に居ながら美しい歌を作った。

健康的な食事でより良い人生を! とか言ってる現代人にとって、子規の食へのひたむきな姿勢は刺さるかもしれません。

 

 こんな人にオススメ

・ドラマやマンガの食事シーンが好きな方

・文学作品に高いハードルを感じてる方

・「あれ読んだよ。〇〇のシーン良かったよね」と知ったかぶりたい方

 

気になっていたけど手に取るほどじゃないと思っていた名作をぜひ読んで見たいと思わせてくれた本です。

図書館とかにあるので、興味が出たら読んでみてください。

 

以上です。この記事が何かの助けになれば幸いです。

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