『げんしけん』の木尾士目が新たに描く工業高校×合唱の青春物語! 声にコンプレックスを抱える藤吉晃。声変わりから極端に低い声になった彼は、「声を使わない仕事に就けるかも」という理由もあって工業高校に進学した。しかしそこで、合唱部を作ろうと意気込む同級生・木村仁と出会う。木村は藤吉の声に魅力を感じ、「一緒に合唱やろう!!」と誘ってきた! リアルな工業高校の日常と、歌で人の心が繋がってゆく青春模様です!
Amazonより引用
げんしけんでお馴染み、木尾士目先生の新作です。今回の舞台は工業高校、しかも合唱部がメインというあまり取り合わせに覚えがない設定です。
主人公の藤吉くんはめちゃくちゃ低音な自分の声にコンプレックスを持っています。けどそこに目を付けたのが合唱部を作りたい木村くんです。
木村くんの誘いに断りきれず合唱部に入ることとなった藤吉くんですが、徐々に歌にのめり込んでいく様子が描かれています。そして合唱部拡大を企む木村くんは色んな人に目を付けて合唱部に入部させようとしていきます。
合唱部に人は集まるのか? そもそも合唱できるのか? いつ合唱できるのか? とりあえず1巻を読む限りリアル時間で1年以上は先になるんじゃないかと不安になるけど待ってるよ!
ってな感じで、僕の勝手な応援が入ってしまいましたが、合唱部を取り巻く青春物語、部活モノって感じでとてもとっつきやすいです。「げんしけん」がモロにオタク達の青春物語で、「四年生」「ぢごぷり」と登場キャラの年齢が少し大人よりだったので読者への間口は広がった印象を受けました。
ただ僕の大好きな木尾士目先生の雰囲気は変わらず漂っており、作品全体の雰囲気はかなり明るめですが、個々のキャラクターの深みとか闇みたいなものは1巻でありながら感じられます。
こちら

こちらは藤吉くんのパートナー役の木村くん。
基本的に木村くんは天真爛漫に明るいです。自分の目的(合唱部)のためには全く空気を読みません。
そのせいでトラブルになったり、藤吉くんに助けられたり、それでもこりずに色んな人を合唱部に誘ったり、それだけ合唱にかける想いが大きいんだと分からされます。
けどそんな木村くんが真面目な顔をするシーンがあります。

こちら、藤吉くんの低い声がシンガーズフォルマントという特別な音域を示していることが分かった時です。
藤吉くん的には自分に特別な才能があるかもって少しウキウキしているんですが、木村くんは喜びながらも、それだけではないことが分かります。
なにせ木村くんは合唱が好きでずっと努力してきたんです。そんな自分に出せない声を出せる。その時の木村くんの気持ちが上のコマです。
1巻でたった一つの木村くんのシリアス。僕はこの1コマが今巻の最も印象に残ったシーンです。やるせないなー。
それともう一つ。「げんしけん」で一番好きなキャラは? と聞かれたら「斑目! 波戸くん!」と即答するので何となくの好みはバレそうなんですが、
今作も何となくユニセックスというか、そもそも主人公の藤吉くんがめちゃくちゃ可愛いです。
優しそうな顔出し童顔だし、動作とか照れてる感じとか押しに弱いとことか、木村くんの尻拭い役というか周りとの潤滑油なとことか、ビンビンに響くんですよね。
時々バリトンボイスなこと忘れてコマのセリフを脳内で流して、「あ、違った。この人声極端に低いんだった」って何度も頭の中を修正しました。
それに木村くんも距離が近い、懐に飛び込んでくるスピードが極端に速くて明るくて考え無しで、でも上のコマのように色々考えるところもあって、あーいいんじゃあーツボるんじゃーって一々好きになってしまいます。
あと今まで紹介していなかったんですが、一人不良の折原って男子がいるんですが、この子と藤吉くんの関係もこれからの注目ポイントかなって。
詳しいことは端折りますが、折原くんが苦しんでるところを助けたのが藤吉くんで、そん時に折原くんは「悪いな」ってお礼を言ってくるんですね。ここがまーー、いい。伝わる人にだけ伝わったらいいです。
そんなこんなで、木尾士目先生が好きな人、「げんしけん」が好きだった人、部活モノやスポーツモノが好きな人、合唱部だった人、適度な男子分を補給したい人にオススメです!!
ぜひぜひ読んでみてください。